異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。
「……信じない」
あたしは、また熱い滴がポロリと落ちるのを感じた。
「ライベルトやティオンは…… もっと相応しいお姫さまがたくさんいるじゃない……期待させるような事を言って、あたしを惑わせないでよ!」
隠れてるから、強気に出れた。
こんなみっともない泣き顔のブス。きっと二目と見られない顔になってるけど、マントで隠してるから何とでも言える。
『違う。俺は惑わしてなんか』
「じゃあ、あたしの目を見てちゃんと言える? 言っておくけど、あたし泣いてブスだから。それでもいいわけ?」
『勿論。俺が見てきたのは外見じゃない』
何の迷いもなくきっぱりとライベルトが言い切った。あたしは逆に迷うけど……口ではなんとでも言える、と頭から被ったマントを手に持つ。
そして、それを取り除こうと手に力を込めた瞬間。
もうひとつの腕に、捕らわれた。
『未婚の女が泣き顔を見せるのは、夫となるべき男にだけだ。この意味を知らぬ訳ではあるまい、ライベルト』