異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。



馬車から離れたからか、あっさりとマントが外れた。


起き上がってライベルトを見る前に、いつの間にか彼は立ち上がり剣を受けてた。


『ユズ、逃げろ! 川沿いに小屋がある。しばらくそこで身を隠せ』


ライベルトは……


背中に大きな傷があり、手にも焼き焦げた痕と無数の傷があった。


皇子の護衛である5人を相手に、彼一人で戦うつもりだ!


そんなの……そんなのやだ!


お父さんの時だって、助けられなくてどれほど後悔したか。


もう、大切な人を失いたくない!


「嫌だ! あたしは逃げないんだから」


あたしには培ってきた強力なスキルがあるんだから。この時に使わずしてどうするのさ。


「空気化、周囲と一体化!」


あたしは今までになく力強く、スキルを発動させる。


さあ、空気を舐めるんじゃないわよ!


コソコソと近づいたあたしは、乱戦の敵を後ろから殴る。


あれ? と頭を押さえて周囲を見渡してるけれど、樹と一体化したあたしを見破れはしまい。

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