異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。
『我がセイレスティア王国領土内で許可なく武器を使う者は、敵と見なす! 降伏し投降すれば命までは奪わない。歯向かう者は容赦なく、斬る!
命が惜しくなければ、来い!』
馬上で剣を掲げたティオンの宣言とともに、ディアン帝国兵士が一斉に彼に襲いかかった。
「ティオン!」
『ユズ、危ない!』
ギイン、と剣同士が重なる嫌な音が間近で響いた。
しまった。スキルの連続発動を忘れてた。
「ライベルト、大丈夫?」
『ああ……心配するな。五年前に比べたらどうって事はない』
額から血を流してはいたけれど、ライベルトはニッと笑う。
その不敵な笑みが、彼の余裕なのだと理解した。
『これを着て、あちらの繁みに隠れてろ。しばらく姿を隠す魔法を掛けた』
ライベルトはマントを被せようとしたけど、あたしは首を振って辞退した。
「ライベルト、使って。あたしは大丈夫だから……見てて。 空気化!!」
力強く叫ぶと、空気が動くのを感じた。
……見える。
あたしを包んでく、緑の力が。