異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。



『我がセイレスティア王国領土内で許可なく武器を使う者は、敵と見なす! 降伏し投降すれば命までは奪わない。歯向かう者は容赦なく、斬る!
命が惜しくなければ、来い!』


馬上で剣を掲げたティオンの宣言とともに、ディアン帝国兵士が一斉に彼に襲いかかった。


「ティオン!」

『ユズ、危ない!』


ギイン、と剣同士が重なる嫌な音が間近で響いた。


しまった。スキルの連続発動を忘れてた。


「ライベルト、大丈夫?」

『ああ……心配するな。五年前に比べたらどうって事はない』

額から血を流してはいたけれど、ライベルトはニッと笑う。

その不敵な笑みが、彼の余裕なのだと理解した。


『これを着て、あちらの繁みに隠れてろ。しばらく姿を隠す魔法を掛けた』


ライベルトはマントを被せようとしたけど、あたしは首を振って辞退した。


「ライベルト、使って。あたしは大丈夫だから……見てて。 空気化!!」


力強く叫ぶと、空気が動くのを感じた。


……見える。


あたしを包んでく、緑の力が。


< 114 / 209 >

この作品をシェア

pagetop