異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。
そして、あたしは姿が消えた様に見えただろう。ライベルトが目を見開いてた。


『ユズ……君は言霊(ことだま)使いだったのか。遥か昔に滅びたはずの……古(いにしえ)の民……』


言霊……言の葉に宿る力を使うってこと?


それは、今のあたしにはわからない。


わからないけど。


大切な人たちの役に立ちたい。その願いははっきりした形を取っていた。


「いっくわよ~おりゃあああ!」


見えなきゃ、こっちのものよ。


膝カックンだけじゃ間に合わないから、鈴華直伝のラリアットも組み合わせた。


なるべく、血を流さずに解決したい。


誰だって大切な人が……家族がいるはずだから。


ティオンは獅子奮迅の活躍で、次々とディアン帝国の兵を沈黙させていく。


ティオン率いるセイレスティア王国兵も、数で押していた。

だけど……。


届かない。


じわじわと後退するディアン帝国軍に、ライベルトとあたしは巻き込まれつつあった。


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