異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。
『えっ……と、その崩壊具合から元の顔を推察するに……君はユズ……だよね?』
……なんで声が震えてるのさ、ティオンは。
あたしの顔面崩壊のお陰で、余計な流血は避けられたんだから。感謝して欲しい位だわ。
「そうよ! 日高ゆず、16歳……あ、もうすぐ17か」
『もうすぐ誕生日なのか? なら、僕の誕生日とともに盛大にお祝いをしよう。プレゼントは君自身「あ・げ・ま・せ・ん!!」』
落ち着いたら、こんな軽口が易々と出た事に驚いた。
『……遅くなって済まなかった、ユズ。ライベルト。障壁に阻まれて、探索が遅れた』
『もったいないお言葉、痛み入ります』
ライベルトはその場で膝を着き、ティオンに畏まって見せた。
彼の血筋を知った今は、不思議に思う。
どうして……ティオンに従ってるのか。
ライベルトは帝国皇子であり、セイレスティア王国の王族でもある。そんな高貴な血筋なら、むしろティオンと張り合える位なのに。