異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。



そのまま反動を活かし、ライネス皇子が剣を振る。


ティオンは逆にそれを自ら受け、剣同士を擦り合わせた。


ティオンが剣を振りかぶる様に見えたけど、ライネス皇子が違う動きを仕掛けた。


隙を突いて、下から?


違う。


もうひとつ、仕込まれたナイフがティオンの心臓を狙ってた!


大きな剣が影になって、仕込みナイフに気づかなかったら?


「ティオン!!」


あたしはただ、夢中で呼んでた。


なのに……。


ティオンはあたしをチラリと見ると、唇の端を上げて不敵な笑みを見せた。


そして。


ティオンは振りかぶった剣を叩きつけ、ライネス皇子の剣を叩き折った。 もちろん、仕込みナイフも粉々になる。


そしてそのまま勢いを反転させ、剣の切っ先をライネス皇子の喉元に向けた。


『勝負、あったな』


両手を挙げたライネス皇子が、さばさばした様子で笑う。


『王国自慢の騎士の腕、しかと目に焼き付けた。あんたが敵ではしんどそうだ……しばらく大人しくするさ』


< 120 / 209 >

この作品をシェア

pagetop