異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。
『ユズ様……?』
鎧を着た馴染みの門番が、兜の前の部分を開ける。
驚いた様な顔を見てばつが悪くなり、ペコリと頭を下げた。
「こ、こんにちは~な……なんかお騒がせしまして」
上から下までまじまじと見た門番は……勢いよく隣の兵に伝えた。
『おい! なにをぼ~っと突っ立ってんだ。ユズ様が無事に帰られたって、早く王宮と内部に知らせろ!』
『お、おう! 判った。ひとっ走り行ってくるぜ』
……あれ?
なんか離宮がわたわたし始めて、間もなくして驚いた。
侍女長のミルミさんだけ、じゃない。
家令のジョシュさんの姿まで見えて、以下離宮の主だった人たちが玄関前に揃ってたんだから。
ティオンを迎えに出たのかな?
「あの~ティオン……殿下は、もうしばらく後からやって来ますから。あたしは」
『ユズ!!』
悲鳴に近い、甲高い声があたしを呼んだ。
そちらへ首を巡らせれば――侍女服に着替えたキキの姿が。彼女は駆け寄り、あたしにしがみつくように抱きついた。