異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。



『バカ! なんて無茶するのよ。戦いの中に突っ込んだって聞いて……本気で寿命が縮んだわ。これ以上心配させないで!』


ポロポロと大粒の涙を溢すキキの体が震えて、手も顔も冷たかった。


それだけじゃない。


下働きの少女数人や、牧場の人たち。侍女の何人か。他にもたくさんの職種の人たちが、涙を流して無事を喜んでくれた。


流石に全員って訳じゃないけど、自分が考えてた以上に、あたしを思ってくれてた人がこれだけいた。


それは、胸が温かくなる嬉しい誤算。


みんなに謝り通しで、泣きっぱなしのあたしは思う。


きっと、ティオンは自分が影響ないようにしたんだ。


ティオンがすぐ側にいれば、おべっかや胡麻すりで本心でない事を言う人が出てくる。


きっと彼は、自分が影響しない本当の結果をあたしに見せるつもりだったんだ。


どれだけの人があたし、日高ゆずを気にかけてくれていたか。


予想以上にたくさんの人がいてくれて、あたしは怖くなりそうなくらい胸がいっぱいになったよ。


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