異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。







年が明けて直ぐに始まる新年祭の準備が本格化した。


この世界では太陽が昇った時点が1日の始まりになるため、当然新年祭もそれに合わせる。


新年祭では快復なされた国王陛下、および王后陛下もご臨席される。


『君のお陰だよ、ユズ』


ティオンはとんでもない事をサラリとおっしゃる。


『君の育てた生薬の材料の効き目が抜群で、快復の見込みはないと宣告された父上がお元気になられたんだ。いくら感謝しても、し足りない位だよ』

「そ……そんなの。あたしの努力で出した結果じゃないから。お礼なんて要らないよ」

『ユズ様! 動かないでくださいまし。仮縫いの糸がほつれてしまいますわ』

「ごめんなさい。気をつけるね」


デザイナーも務める侍女長のミルミさんに叱られて、あたしはシャンと背筋を伸ばした。


今何をしているかと言うと、新年祭用のドレスを作成中。急に決めたものだから、大わらわでサイズを採寸して、生地作りから型どりやらを始めてた。


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