異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。
『ライネス皇子がそう話したのか』
ティオンは小さく首を振り、窓際に歩み寄るとそこに背を預けた。
『ディアン帝国からすればそう取られても仕方ない。だが、我が国からすれば一方的な誤解としか言えない。
僕がユズを喚ぶのにちょうどいい星回りがディアン帝国と合致して、偶然ほぼ同じ時刻に召還が為された。
召還の儀式は国家の最重要機密だからね。外に漏れる事なく互いのそれが重なっただけさ。
ただ、僕が執り行った儀式では君は現れず、逆にユズがいた世界と繋がりが結ばれてしまった。
その道を閉じるには術者が直に趣く必要があったから、僕が君を直接誘ったんだ。
道を歪めたというのは、影響を与えたという意味ならそうかもしれないが。悪意を持ってそうした訳ではないよ』
そうか。それでティオンがあたしの学校に現れた訳か。
「けど、なんで猫が畑に埋まってたの?」
『あの猫は僕の使い魔だからね。僕の目となり耳となり、代わりに情報を伝えてくれていたんだ。たぶん、必要だからそうなったんだと思うよ』
……必要だから自ら埋もれたんですか。