異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。



「あ、あと。お兄さん達が……戦死したのは、ほんと?」


ライベルトの裏切りで、というのはどうしても言えなかった。

彼らは大切な思い出を共有した幼なじみで友達だから。そんな事を伝えて悲しませたくない。


『ああ……』


ティオンはプラチナブロンドの前髪をかきあげた。だから、そういう無駄な色気を振り撒かないで、頼むから。


『本当だ。一部ではライベルトが陥れて死んだという話もあるか、根も葉もない言いがかりだ。……兄上達は騎士として正々堂々勝負を挑み、多くの命を救った結果落命されたんだ。
その誇りや名誉を貶める輩は、誰だろうと許さない』


ティオンはあたしに背を向け、外を眺めるふりをしていたけれど。


ギュッと握られた拳が、微かに震えてた。


……お兄さん達が本当に大好きだったんだ。


不用意な発言でティオンを傷つけてしまい、あたしは申し訳なくて仕方ない。


「ごめんなさい。そんなつもりじゃなかったの。ただ……噂はホントなのか確かめたかっただけ」


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