異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。
「それじゃあ来年早々にある青葉祭の係はこれで35人全員分決まったな……あれ? 1人枠が余ってるがおかしいな」
青葉高伝統行事である新年会の役割分担を決めるホームルームで、出席簿を手に首を捻る担任の先生。
このクラスの人数は正確には36人ですが。
どうやら気配を消して周囲と一体化し過ぎた結果、あたしは完全に空気と化していたらしい。存在すら認識されてなかった。
空気化のスキルが効きすぎも問題だわ。誰ひとりも気付かないんだから。
気配りが出来ると評判のクラス委員長の目すら、通り過ぎていったし。
横目で2つ隣の席を見れば、鈴華が必死に笑いを堪えてた。
それからあたしの存在が認識されたのは「まだ決まってない人」と呼びかけられ、渋々手を挙げてからだった。
「うわっ! ごめん。日高さんいたの」
2時間後。女子トイレの鏡の前にいたら、ほんの5cm横で悪口大会をおっ始めた同級生達がいた。水を流したら、その音でやっと気付かれたようだ。
「全然気づかなかった」
はい、そうですね。あなたは別に悪くありませんよ。