異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。



『……全く、君たちには……本当に敵わないよ』


再び背中を向けたティオンの声は、心なしか湿り気を帯びていた。


『覚悟、しておけよ。そこまで言うなら……一生こき使ってやる。嫌だと言っても遅いからな』


『構いませんよ。この剣を授かった瞬間から、とうに覚悟を決めていましたから。この命はあなたと共にあるのだ……と』


ライベルトが、ティオンに向けて膝を着き剣を掲げる。


窓の外からは柔らかい午後の光が射し込み、2人の姿を浮かび上がらせる。




――後に奇跡の王と騎士と呼ばれる2人の、新たなる誓いだった。


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