異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。
『大地より出づる太陽、再生を司る太陽神……』
朗々と大司教の祝詞が流れてく。眼前には、国王夫妻が鎮座ましてた。
粛々と儀式が進んでく。
なのに……。
さっきから、何をしてるんですか!? 隣のセクハラ魔王はっ!
見えなきゃ良いとばかりに、あたしの手を取って口付けたり。うなじにキスしたり。
この……エロエロ大魔王があっ!!
『ユズ』
また、くらくらきそうな甘い囁きで、あたしの答えを促す。
『僕のこと、少しでも好きになってくれた?』
答えを急かすのは……あたしが好きだと答えれば、嬉々として婚約を発表する気だろう。
ここまで翻弄されて……なんだか悔しかった。
だから。
国王夫妻の御前に出た瞬間、満面の笑みで答えてあげた。
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