異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。



特に2つ年上のライベルトには、ずいぶん世話を掛けていた。


幼なじみであり親友であり一番の腹心の彼は、僕が生まれて間もなくから一緒にいて。


6つの子どもではまだ王族の自覚等を持つのは難しい。だから、大人を困らせるのに夢中で毎日毎日無茶をした。


当時、先の戦の帝国からの賠償金で潤っていた王宮には、珍しい物が集められていた。


父国王は骨董品を集めるのが趣味で、自分に宛てられた領地からの収入でコツコツ集めていたが、父の機嫌を取るためのディアン帝国からの献上品等も王宮に納められていた。


ディアン帝国は痩せた土地だが資源が豊富ゆえに、科学や機械文明が発達していた。魔法や自然を主とするセイレスティア王国とは対極にある。


それだから、その国の宝物や骨董品とはどんなものか、と興味津々な僕はライベルトを誘って宝物庫へ忍び込んだ。


無論、ライベルトは渋い顔をして僕を止めようとしたけど、僕はごり押しで彼を連れて王宮の奥にあるそこへ向かう。


代々王家に伝わる国宝も納められているから、もちろん厳重な警備が敷かれている。けれど、僕に掛かれば警備兵の目を誤魔化すのは簡単。


既に覚えていた目眩ましの魔法で警備をすり抜け、結界の一部を柔らかくしてライベルトと共に入り込んだ。
< 149 / 209 >

この作品をシェア

pagetop