異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。



「あははは! アンタ、空気にも程があるわね。あいつらの驚く顔が見たかったわ~」


お昼休み、屋上で弁当を広げた鈴華が馬鹿ウケしてた。

トイレで悪口大会をしてた同級生は、鈴華が毛嫌いをしてるグループの子だった。

だからか、女子トイレでの出来事を聞いた途端、飲んでたトマトジュースを5mほど吹き出した。柵を越えていったから、下に落ちて誰かが頭から被ったかもしれない。


鈴華の笑いのツボがわからなくて、パンをモソモソ頬張っていると、ふと視界の隅に銀色を見た気がした。

……じゃない。

チリリンと姉につけられた鈴の音が聞こえ、思いっきりあの猫だったしっ!


涼やかな鈴の音を立て、長い毛並みのあの猫が歩み寄る。ぐはっ……はなぢが出そう。可愛すぎて悶絶死するわ。
(実は大の猫バカです)


「あれ? 畑に埋もれてた猫じゃん。アンタ連れてきたの?」

「ちゃんと家に置いてきたけど」


ミルクと寝床を用意して鍵を掛けて出てきたんだけど……不安で着いてきたのかな? と思うと可愛くて可愛くて可愛くて……(以下延々とリフレイン)


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