異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。
あまりの衝撃にどうやって戻ったのか全く記憶に無かったのに、気付けば自室で乳母のお説教を受け終えていた。
3日間の外出禁止令を出され部屋に閉じ込められても、全く気にならないどころかどうでもよかった。
「だから、お止めしたんですよ。これからはもっと王子らしく振る舞ってください」
侍女の代わりに僕の世話を任されたライベルトが、ため息を着きそうな口調で言うけれど。僕はその言葉にカチンと来た。
「“王子”って、誰のこと?」
「は?」
ライベルトは訳が解らない、という顔で僕を見る。彼は僕より2つ上の8歳だけど、母上や父上だけでなく、兄上達や他のみんなの信頼を集めている。そして、本来ならばディアン帝国皇子であり。このセイレスティア王国王族の血も引いている。生粋の王族とも言える存在だった。
「何をとぼけてらっしゃいますか。あなた以外にこの部屋に王子などいらっしゃらない」
「母上の子どもじゃなくっても、王子と言えるの!?」
僕が叩きつけるように言葉をぶつければ、ライベルトはハッと目を見開いた。
――その瞳は祖父と全く同じ蒼い色で。彼が間違いなくセイレスティア王国王族の血を引く証だった。
髪色だって父上は濃い茶色で、母上は黒い。瞳はどちらもはしばみ色ととび色と茶色の系統だ。肌色はどちらも濃い……よくよく考えれば、僕の様に白い肌色とプラチナブロンドなんて生まれる訳が無いのに。
兄上達だって髪の毛は茶色で肌は浅黒い。どうして今まで何にも疑問を持たなかったのだろう――自分がどれだけ異質なものだったのか、という現実に。