異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。



「お兄ちゃん、目をつぶっててね!」


女の子はそう言って僕から離れると、何やらごそごそ物音が聞こえる。いちいち付き合う理由はないけど、何だか面白くなって律儀にまぶたを閉じておいた。


「はい、これ!」


再び彼女が僕に触れると、手のひらに何かを載せられた。


「どっちがいいか選んでみて」


どうやら目を瞑ったまま触覚だけでの当てっこらしい。あいにく僕は勘が鋭いから、視覚がなくても直ぐに何かを判別することが出来ると自信満々で、それに触れた。


手のひらに載せられた2つのものは、ひんやりと冷たく硬い感触。重さは程々で、でも表面には凹凸がある。どちらもガラス質の特徴を読んだが……正直、同じものとしか思えない。


石か何かだろうか?


けれど、自分の知識に該当するものは無くて、首を捻る。


「どうしても選ばないとダメ?」

「うん。じゃなきゃず~っと目を開けちゃダメだよ」


たぶん、彼女はにこにこ笑顔で僕を見てるに違いない。からかっているとは思えないから、仕方ないか……と2つあるもののうちこれだ! とひとつを選んだ。


「はい、選んだよ」

「それじゃあ目を開けてみて」

彼女の言う通りにまぶたを開けば、僕の手のひらに載っていたのは闇のように真っ黒な石。

そして、選ばなかった方は半透明で光を通しキラキラと輝いている綺麗な石だった。


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