異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。



「もしかしたら寂しかったのかな?」

猫を抱き上げただけで頬が緩むのを感じた。それを鈴華が不気味なモノを見る目でみてるが、気にしない!


「アンタ……そのニヤニヤの顔面崩壊はマジヤバいから。人目に晒しちゃいかんよ」


しみじみと言われるほどですか。どんだけ不気味な顔なんですかい。


「いいもん! あたしは猫さえいれば幸せなんだから」


ギュッと抱きしめてすりすりと頬擦りをした。苦しいのかぱふん、と柔らかな肉球で鼻を猫パンチをされ、もはやヤバすぎます。 萌え尽きそうですっ!


「あ~はいはい……ごちそうさま~」

鈴華は明後日の方向を見つつ、パックのトマトジュースをじゅ~っと音を立て吸った。


何ですか、その思いっきり“ど~でもいい”って空気は!


「あ、ジュース切れた。自販機行ってくるわ」


休み時間はまだ30分ある。鈴華は水分がないとお昼が食べられないから、と立ち上がる。

「アンタもなんかいる?」


「じゃあ牛乳お願い」

猫ちゃんにあげられるものは何にもないから、せめてとミルクを頼んだ。


< 16 / 209 >

この作品をシェア

pagetop