異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。



ライオネル兄上いわく、僕が持っていた黒い光(たぶんユズのくれた黒水晶の力だ)で【闇】の大半はあちらへ還した。


ただし、ほんのごくごく一部の【闇】が異界と繋がっていた僕の隙間から入り込んでしまったらしい。


咄嗟にライオネル兄上が額にあった刻印を利用し、暴走しない様に封じ込めた。けれど、異界の【闇】に関しては未知数だから、どんな影響が僕にあるのか解らない……とのこと。


「その辺りはもちろん警護のライベルトにも伝えておくが、心して過ごすことだ。
もし、少しでもおかしな感じがしたり体調を悪くしたらライベルトか私たちに言うんだ」


ライオネル兄上の話では、この件は王太子である自分で止めているという。つまるところ、父上や義母上には伝わってないということだ。


その点に安堵しながら、兄上の心遣いに感謝をした。父上に伝われば国を危機に陥れた罪で間違いなく断罪される。


我が身可愛さからじゃない。


先の戦の戦勝国とはいっても、今だ諸外国との外交は順調とは言い難い。そんな時に少しでも王族にいさかいやトラブルがあれば、その隙に付け入ってくるだろう。


愛妾が産んだとは言えいち王子を罪に問うということは、市民を罪に問うよりも遥かにことが重大になるからだ。


それより、となぜかアレクシス兄上はニヤニヤと口元を緩めてきた。


「俺も一瞬だけ見えたけどな。おまえが夢の中で繋がりを持った異界人って……女の子だろ?」


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