異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。
「……こんな自分が嫌だ……嫌い。大嫌い!」
最後に、叫んだ。
何の取り柄もない自分が嫌いで……他人と関わらないように生きてきた。こんなのじゃダメって解っててもどうしようもなくて。
「……こんな自分……要らない。要らないよ!」
柵に凭れたまま、あたしは涙を流した。けど、後ろで人の気配がして慌てて涙を袖でぬぐう。
大切な親友を、心配させたくないから。
「鈴華、早かったんだ……ね?」
なるべく明るい笑顔を作って勢いよく振り返ったあたしの顔は、ピキンと凍りついた。
だって……。
あたしのま後ろにいたのは、全く見知らぬ外人さんだったから。
めちゃめちゃ背が高いってほどじゃないけど、あたしより頭ひとつ以上は高い身長。その上にある顔は端正なもので、サラサラのプラチナブロンドが晩秋の風に揺れる。
一度も日焼けした事がないような真っ白な肌に、ブルーグリーンの瞳。甘い微笑みをたたえる薄い唇。
そして、引き締まった身体を包むのは軍服みたいな厳めしい格好だった。