異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。
チリリン、と可愛らしい音が響く。
それは、首元にひどく不似合いな鈴が着いていたからで。
赤いリボンで結ばれたそれは、男が足を動かす度に揺れて鳴る。
つまり、その人はあたしに近づいて来ているということ。
……え? え?? えええ!?
どうして見知らぬ外人サンがあたしに近寄る必要があるの!?
というかこんなコスプレみたいな格好した外人サンが校内に侵入して、誰も気付かないわけ?
普通は不審者として警察呼ぶなり捕まえたりするよね?
不審者にいきなり何かをされないように、じっと見据え威嚇しながらさりげなく横に移動する。
でも、外人サンはあたしを逃す気はこれっぽっちもないようで、あたしの動きに合わせてきた。発動する強力スキルの空気化すら、微笑みながら華麗にスルーだ。
「……ひっ!」
外人サンの手が伸びてきて、あたしの肩を掴んだ。
「ユズ」
初めて聞いた外人サンの声は、少し低めのセクシーボイスでした。
「僕の国を、救って」