異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。
姉や母の比、じゃなかった。
本物。正真正銘のキラキラがおわします。
「あ、すいません。ちょっとジッとしてて下さい」
あたしはポケットから携帯電話をごそごそ取り出すと、カメラレンズを向けてセンターキーを押す。
カチャ、と人工的な音が響いてすぐに液晶画面を確認した。
……やっぱりちゃんと写ってる。幽霊や幻覚じゃないってことよね。
「ユズ」
「ひゃいっ!?」
耳元で名前が呼ばれ、ビクッと体が跳ねた。キラキラ王子さまはいつの間にか、あたしを腕の中に……って!?
「ちょ、離してください! け、警察呼びますよ?」
「ケイサツでも、対応はできない」
「……は?」
キラキラ王子さまが、意味不明なことをおっしゃる。
「何いってんの……あんた自身が不審人物じゃない! いい加減に離さないと……」
あたしが皆まで言わないうちに、風が吹きだした。