異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。
「え……ええっ!? なにこれ!」
あたしとキラキラ王子の足下に、ファンタジーでよく見る魔方陣が現れて緑色に光ってる。しかも、そこから風が吹き付けてた。
キラキラ王子さまの額にも何らかの紋様が現れて輝いてる。そしてそれは――あたしの胸にも現れた。
傷が、紋様の形となり文字が描かれる。それはなにもない空中に浮かんでは消え、最終的にひとつに重なっていった。
「ユズ、君は僕と契約を為した。それゆえに僕は君を連れて行く。僕たちの世界セイレスティアへ」
「え、ちょっと待って! 契約って何の話? あたしそんなのした覚えなんてないし、そのせなんとかになんていかないわよ!」
キラキラ王子さまは……あたしに向けて穏やかに微笑んだ。
「もう、遅いよ――ユズ」
彼がそう呟いた瞬間。
世界が光の風に包まれて、体が浮いた。
「ちょっと……待ってよおおおっ!」
――こうしてあたしは、異世界生活に足を踏み入れる事になったのでした。
しくしく……。