異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。
空気は空気の領分がありましてですね。
「うう……う」
痛い……
いたい……
イタイ。
おかしい……
ずっと前に痛みは消えたはずなのに。
どうして……胸の傷が痛むの!?
やめて……!
思い出してしまう。
せっかく閉じ込められた、暗く湿った。じくじくした嫌な感覚を。
「……あれ?」
ぱっちり、と目が覚めた。
それこそ何かのスイッチが入ったみたいに。見事にスッキリと。
小学生以来寝覚めの悪さに悩んでいて、わざわざ鈴華に毎朝起こしに来てもらってたんだし。
たぶん9年ぶりくらいだ。こんなに気持ちよく起きれたのは。
もそもそと布団の中で起きる準備をしたあたしは、いつもより上質な手触りに気付く。
……おや? 母さんはあたしの布団を新調したのかな。ずいぶんとふっわふわで、暖かいですが……
「……って、ええええっ!?」
布団から顔を出して、直ぐに叫んだ。
見知らぬ部屋の、天蓋つきのキングサイズのベッドに、いつの間にか寝てたんだから!!