異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。
全面ガラス張りの窓に、金箔の象眼細工で縁取った陶器製のバルコニー。乳白色のセードが柔らかい光を放つシャンデリア。白が基調であちこちにガラスや宝石を散りばめた大理石の壁に、古くとも上質で重厚な木製家具。
床はフカフカな紅い織物で、白い毛皮が敷かれていた。
水晶みたいなガラス細工や、陶芸品もあちこちを華やかに彩ってる。
ベッドだけでも大人が5人寝てもあまりそうな面積があるのに、あたしが今いる部屋は更にスケールが大きい。
日本で言えば……だいたい30畳間くらいかな。
しかも、部屋はそれだけじゃなさそうだ。
あちこち観察した結果、構造的にあと幾つか纏まって部屋が造られているみたい。
ホテルでもちゃんとしたスイートルームなんかにあるよね。泊まったことはないけど。
興味深い、とは思うけど。あたしはそれよりも、現実に起きてる事を整理する必要を感じた。
えっと……あたしは今、この無駄が多い部屋にいるけど。誰にどうやって、何の目的でここに連れて来られたんだろう?