異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。



確か、朝畑で埋まってた猫を掘り出して家で飼うことにしたんだ。


そしたら、その猫がなぜか学校に来ていて……猫が見えなくなったらプラチナブロンドの外人さんがあたしに迫って……。


思い出した!


謎の外人さんが“セイレスティアに連れていく”と言ってたことを。


セイレスティアってどこだ? 少なくとも世界にそんな国は無かったはずだけど、知らないうちに建国されたんだろうか?


けど、だったら。


外人さんとあたしの足下に現れた魔方陣は、どう説明すればいいんだろう?


風が吹いて、体が浮いた事実は?


(まさか……幻覚とかじゃないよね? あたしは別世界へトリップするような、怪しげなクスリなんてやってないぞ!?)


こういう場合のお約束。頬を思いっきりつねってみたけど、普通に痛い。少なくとも夢じゃないみたいだ。


(……って言うか!今日は午後イチで英語の小テストがあったのに)


中間試験の点数がヤバかったから、補習を受けて今回の小テストで60点は取らないといけなかったし。楽しみにしてるドラマの最終回が今晩なのに……!


(どうやって帰ればいいのさ!というか、それ以前にここはどこよ!?)


まず帰るにはこの部屋から抜け出さないと、なんて考えてる最中でドアをノックする音が耳に届いた。


『ユズ様、お目覚めですか? 湯浴みのお支度が出来ておりますから、お身体を清めるお手伝いを致します』


あたしは自分の、耳を疑った。

日本語や英語でない見知らぬ言語なのに、その意味が手にとるように理解できたんだから。

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