異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。
……王太子ですと?
そんでもって……離宮!?
現代日本で皇族はいらっしゃいますが、あたしら一般庶民にはとてつもなく遠い、まさに雲の上の存在。
当然、ご尊顔を直に拝する機会なんてそうそうあるわけじゃない。
それだけに、皇族だの王族だの。一般ピーポー(しかも底辺)なあたしに、馴染みがあるわけない!
あたしがそういった方々に抱くイメージは、とにかく尊くて高貴で……そして、大変だって思う。その立場ゆえの重みで、あたしだったら1日で潰れてしまうよ。確実に。
ここが王族の離宮だとしたら、下働きに紛れ込んで正解だった。ホッと胸を撫で下ろす。
まあ、ここが日本じゃないのは言語や習慣の違い、そして髪や肌の色の違いから解ったけど。
髪の色が緑やピンク色ってどうなのさ。たまに猫みたいな人が二足歩行してるし。転べば痛いし膝を擦りむいたから、現実感がなくても現実と認めるしかない。
部屋を抜け出したあたしがまず考えたのは、情報収集と食いぶちの確保。
食わなきゃ生きれないし、情報がなきゃ帰る方法がわからない。
心細さはもちろんある。
知らない土地で知らない人ばかり。頼れる人なんていない……どころかこの世界の人間ですらないんだし。
けど、ぐじぐじしててもどうしようもないもんね。現実は作られたドラマみたいに上手く行かない。自分が動かなきゃ何も解決しないんだ。