異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。



「ねえ、ライってここの土地に詳しい?」


ご飯を済ませた後、珍しくまだいる彼に訊ねてみた。いつもは黙って消えるのに。


しばらくの沈黙の後、ライはそうだと答えた。


「ここの土地で生まれ育ったの?」


『いや、生まれたのはネクサイだ』


(そこってどこよ!?)


内心で盛大なツッコミをしながら、あたしはライに頼んでみる。


「あのね、あたしここの土地に馴染みがないの。だから、もうちょいここを理解したくて……色々教えてもらいたいかなって。ライがよかったら、だけど」


ライはまじまじとあたしを見てくる。なんでそんな、探るような目で見るのさ? 穴が空いてしまいそうだよ。


『……それならば地図を貸す』

「え、地図あるの!?」

『……まあな』


ライは後から持ってきてくれる、と食堂を出ていった。


『ユウって文字が読めるの?』

キキがそんな妙な事を言うから、あたしの方が驚いたわさ。

『平民の中じゃあ文字が読み書きできる人の方が少ないのに。ホントにユウってすごいわね』


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