異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。
キキも見たいって言うから、ライの地図を一緒に眺めた。
言語が違うから読めるか心配したけど、どうやら杞憂に過ぎなくて。むしろ日本語の地図よりすらすら読めた。
「これ、何日か貸してもらっていい?」
『構わないが、どうするんだ?』
「ちょっとね」
コピー機なんて見当たらないから、手書きで写すしかないな。めんどくさいけど仕方ない。
『写すなら手伝うぞ』
ぐはっ! どうやらライにあたしの考えがもろバレだったようで、彼は開いた地図と同じ大きさの紙を取り出した。
キキも興味津々な様子で参加を申し出てくれる。
『わたし、恥ずかしいけど文字が読めないの。これがきっかけで勉強出来たら嬉しい』
そういえばキキは戦災孤児で、侍女長にスカウトされるまで、商家の下働きをしてたんだったっけ。
ほんの5つで家族全員を亡くしたなんて悲しいよね……。
彼女の明るさや人懐っこさはその反動かもしれない。
『それにしても、ユウって絵が上手なのね』
地図を写す時にキキに褒められて、悪い気はしなかった。