異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。



地図を写しながら、実際にその場所を歩いて覚えることにした。

もちろん日がな1日暇な訳じゃないから、休憩時間とかを使って近くをてくてく歩く。

元々散歩が趣味であったから、足腰は丈夫だし体力には自信がある。初日は仕事を終えた後にライに案内され、キキと一緒に離宮の内部から少し離れた領地までを歩いた。


それにしても、不思議だった。

離宮を出入りするのに普通は許可証が必要なのに、門番はライの顔を見ただけで通したんだから。

まさかの顔パスですか。 あなた何者?


日暮れも差し迫った中、キキと川沿いを歩いてみた。


『これが川って単語ね……これがお城。ユウの絵がキレイだから解りやすくて助かるわ』


自分が写した単語を眺めながら、キキは言葉を反芻する。

今まで学べる機会が無かった分、キキは一生懸命で。驚くほど飲み込みが早い。


離宮よりやや小高い丘を登りてっぺんに着くと、広大な領地が見えた。


夕陽が落ちそうな奥に緋色に輝く稜線があり、手前に深い森があり。扇形に農作地が広がってぽつぽつと人家が点在してた。


< 36 / 209 >

この作品をシェア

pagetop