異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。
深呼吸をして数を数える。海や森の様子をイメージして、高まった感情を鎮めてく。
あたしはダメな人間だけど、自慢のお母さんの娘。その恥にならないくらいの対応をしたい。
頭がクリアになれば、今まで腑に落ちなかった点も思い返せる。
あたしが目覚めた後に脱出した時、あまりにあっさりし過ぎてた。警護の兵すらいなかったんだから。
それなのにライベルトさんが間近にいた、なんて矛盾。あたしは結局セクハラ王子の手の内にあった訳だけど。
わざわざ別の世界から連れてきたのに、この対応はおかしかった。
「あたしを監視してた意味はなに? わざと部屋から逃して自由にさせてたでしょう」
『もちろん』
セクハラ王子はあっさり認める。
『僕は君が王家に伝わる、伝承にある姫だと確信はしてたけど。99%だけ。後の1%は確かめる必要があった』
「伝承にある姫……って」
『世界を、救う姫だよ』
キラキラ王子さまがあたしを下ろすと……いつの間にか壁際に追い詰められてた。
『君には生まれつき特別な力が備わっているんだ。植物に影響を及ぼす力が』