異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。
過去と、彼の腕のなかで。
『で、ありますから。このような場合、相手へのお辞儀はこの角度で』
……ああ、気持ちいい。
授業中ってなんであんなに眠くなるんだろう? 今も同じでマクベス伯夫人の声が子守唄にしか聞こえない。
椅子に座りながら船を漕いでいるあたしに、夫人から雷が落ちるのは時間の問題だった。
『ユズ様! 聞いてらっしゃいますかっ!?』
キンキン声のマクベス伯夫人が、ちょうど嫌な夢の入口を吹き飛ばしてくれた。
☆
『ユズ、またマクベス伯夫人にお叱りを受けたのかい』
「う……だ、だって! あんなふうにサロンで講義なんてするから。太陽の光で暖かくてついつい……ね」
午後のお茶の時間。ティオンがクスクス笑いながら、膨れるあたしを眺めてた。
「ティオンだって居眠りくらいするでしょう」
『そりゃ、僕も人間だからね』
カチリ、とティーカップをソーサーに戻したティオンだけど。なぜか、椅子から立ち上がる。
そして。
あたしの頬に手を当てて顔を上向かせる。