異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。
「あたしを帰して、戻して! って喚いたって。どうせ聞く気ないんでしょう」
『確かにその通りだがな』
クックック、と肩を揺らしながら笑う、銀髪の男は何が目的か。それを明らかにしなきゃいけない。
「となるとあたしを拐うのが一番の目的か。どこの国なのよ?ディアン? ハーメア? ミナン?プライ?」
『その問いに答える義理はないが?』
「そうだけど! 当事者として少しは事情というものを知りたいと思っただけ。いけない?」
めちゃくちゃな理論だけど、あたしの中では正義だ。ふんっ! と鼻息を荒くしてると……銀髪男がふっと笑う。
『おかしな女だ。これからどうなるか解らないというのに』
「あいにく、普通の育ち方はしてないもので。それに、あたしの価値はあの力でしょう。邪魔だったり不必要ならとっくに殺してる……違う?」
挑むように睨めば、銀髪男は頷いた。
『確かに、我が国は欲している。おまえの力を……荒れ地に春を呼ぶ女神を探し求めやっと見つけたのだ。セイレスティアにまんまと奪われたが、元々おまえは我が国が求めていた女神なのだ』