異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。
なんだか、聞き捨てならない事を聞いたような。
「我が国が求めていた……って、どういうこと?」
『言葉通りだ。元々おまえは我が国に召還される運命だった。我が国の上級魔法使いの総力を挙げた召還の儀式の最中……セイレスティア王国の王太子ティオンが干渉し、道をねじ曲げたのだ。
ティオンは自ら道を渡りおまえを拐い、セイレスティア王国へと誘ったが。
我が国から見れば略奪に他ならない!
だから、本来おまえがあるべき国は全く別にあるのだ』
「う……嘘」
『嘘だと思うなら、直に訊くがよい。もっとも……もはやセイレスティア王国には渡さぬが』
……嘘。
あたしは目の前が真っ暗になる思いだった。
ティオンは嘘をついてたの?
あたしを騙して……国に留め置いてた?
あたしの力を……利用するために。
あんなに優しかったのに。それも全部偽りだったの?
受けたショックは、自分でも予想以上のものだった。
だけど……
あたしはどうしてもひとつだけ訊きたい事があって顔を上げる。