僕の、うさぎさん。
「あの、もしよかったら子犬を引き取っていただけませんか?」
さのひなこは恐る恐る聞いた。
「この子がランちゃんじゃないことはわかってます。だけど、おじいさんおばあさんなら、きっとこの子犬も幸せになれると思うんです……」
さのひなこ……
「俺からも…お願いします」
俺も頭を下げた。
「…いいんですか…?」
おじいさんとおばあさんは嬉しそうだ。
「もちろんです!ありがとうございます!」
「よかったね!ワンちゃん!」
「キャイン!」
どうぞ、と、さのひなこは子犬をおじいさんに渡した。
「ばいばい。わんちゃん。元気でね。」
少し、寂しそうだな……
「本当に、ありがとう。いい、彼氏さんと彼女さんだね。元気でね」
かっ
彼氏さん!?彼女さん!?
さのひなこをみると、あはは〜って何事もなかったように笑ってる。
俺ら、周りからみて…そう見えてるのか?
ニヤッ
おいコラ!神崎真白!
なににやけてんだよ!
気持ち悪すぎるだろ俺…
だけど俺はにやけてしまう頬を抑えることができなかった。