僕の、うさぎさん。


この雨で傘忘れるなんて…慌てていたのかな?


「いいよ。送ってくよ」


「ありがとう!神崎くんって優しいのね」


雨の中、相合傘をさして帰る。


さのひなこには見られたくない光景だな…


松下さんが濡れないように、傘を傾ける。


女の子に風邪を引かせたくはない。


「……ねぇ、神崎くんって、彼女いるの?」


「!?いないよ、彼女なんて…」


びっくりした。松下さんが急にそんなこと聞いてくるから…。


「ふぅーん♪よかった」


よかったって……どういう意味だ?


まぁ、松下さんが俺のこと好きなわけないし、そういう意味ではないのだろう。


「じゃあ……好きな子は?」


好きな子…


さのひなこ。


なーんていえるわけなく、


「…いない、かな」

と答えた。
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