愛しのパシリくん



目の前の男の子は、まだまだ食い下がるつもりはないみたいで。


「…じゃあ、オレだって使えるパシリになれる自信あります。」


って、減らず口。



―…しつこい。


ムカつく、コイツ。


伊藤のこと、バカにしやがって。


私だっていい加減、キレそうなんですけど。



「―…名前。」


「え…?」


「…あんたの名前を聞いてんだよっ!!」



ついに堪忍袋の緒が切れてしまった私。



「え…あ…中村です!!」



私を見て、動揺するコイツは中村というらしい。


そんな中村にとどめの一言。



「…中村、あんたを転落人生に追いやるのなんて簡単なんだからね?」


「……な…成瀬さん…?」


「次に住む所、見つけといた方がいいよ?ま…明日も日本にいれたらいいけど。」



目だけは笑ってない表情で中村に微笑む。



中村は、青ざめた顔で途端に走り去って行った。




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