愛しのパシリくん
…伊藤の言葉。
心臓の音、呼吸。
体がフワフワとした感覚に襲われているような気分で。
思わず、携帯を地面へと落としそうになった。
…今、何て言った…?
『…オレ、パシリ…やめます。』
……って聞こえた。
大好きな、伊藤の声で聞こえたような気がしたんだけど…
―…夢?
「な…何言ってんの!?パシリに拒否権なんかあるわけないじゃん!!」
「……もう無理なんです。」
「うるさい!!あんたは今まで通り、私のパシリだからね!!勝手にやめるなんて許さない。」
最後の方は、意地になってた。
伊藤を、どうしても自分の近くに置いておきたくて。
伊藤が私から離れて行くなんて、ありえない…
だって『ご主人様とパシリ』って関係がなくなったら―…
私と伊藤には、何の接点もない。
学年も違うから、今よりもっと会えなくなる。
―…そんなの嫌だよ。
「……伊藤っ…」
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