愛しのパシリくん



「姫可ちゃん!!」


静かな部屋に、バンッという大きな音が響く。


うんざりしながらも、ドアの方を向くと……



「…ママ?」


そこにいたのは、ピンクのドレスを身に纏ったママの姿で。



「お食事、頂かないなんてどうしたの!?」


心配そうな顔のママは、私の顔を覗き込んだ。



「…食べたくないの!!今はひとりがいいんだから出てってよ!!」


「まぁ、落ちついて。姫可ちゃんにお話があって来たのよ。」


「…話?」



心配されてるのかと思えば、いきなり別の話。


ママのマイペース過ぎるテンションにも、うんざりだ。



「来週、姫可ちゃんのお誕生日でしょ?今年も大規模なパーティにするつもりだから楽しみにしててね♪」



…そっか。


―…私、来週誕生日だったんだ。


そしてまた、今年もパーティするのか…



でもね…例え、何人に祝ってもらっても喜べないよ。



だって、私が祝ってほしいのはひとりだけ。




大好きな伊藤だけなんだもん…




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