愛しのパシリくん



渡辺さんの表情は、驚きが隠せていない。



…そんなに不思議なことかな?


私たちの関係なんて、いつ壊れてもおかしくなかったのに。



「パシリやめたの!?何で!?」


「…パシリじゃもう嫌になった。だから、別の位置になりたくて。」



ふてくされた表情の伊藤。


可愛い……////って抱きしめたくなるのを必死で我慢。



渡辺さんは…


「あー伊藤、頑張ってね♪」と笑顔で応援していた。



…何だか渡辺さんは、伊藤の全てを知ってるみたいで。


私より、渡辺さんの方が伊藤の奥深くまで知ってるようで。



―…今の私は、伊藤を見失ってることに気付いてしまった。



もう、近くに伊藤はいない。


だからと言っても、手を伸ばせば届く位置にいるのに―…



伊藤が見えないから、私は手を伸ばすことが出来ないんだ。




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