愛しのパシリくん
「―…はい。姫可ちゃん、ママとパパからのプレゼント♪」
ムスッとした表情をした私を気遣ってか、パパとママが近付いてきた。
目の前に差し出されたのは、包装紙に包まれた小さな箱。
無表情で、プレゼントを開ける。
そこには、前から私が欲しがっていたブランド物のピアス。
私の誕生日石が輝いている。
「姫可ちゃん、このピアス欲しがってたでしょ?」
覚えててくれたママとパパからの気持ちは、すごく嬉しい。
―…だけどね…
私が1番欲しいのは、これじゃないの。
「……違うの。」
「姫可ちゃん?」
「……ごめん…ちょっとトイレ行くから。」
パパとママの不思議そうな顔を見ると、いたたまれなくなってきて。
そう言い残して、部屋を出た。
私の勝手な行動にざわめく招待客の人達。
…ごめんなさい。
私が今、1番欲しいのは―…
「……伊藤…っ…」
私は伊藤がいなくちゃ、おかしくなりそうなんだってば。
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