愛しのパシリくん
―…読み始めてから結構経つのに、ヒントが得られない。
「…ないんじゃん。」
ふてくされた私は、適当に本をめくる。
あきらめかけて、もう適当にしか読んでいなかった。
「………………ん?」
ある文章が目に飛び込んできた。
その文章を、ゆっくりと確実に一文字ずつ読んでいく。
―――…もしかして
伊藤が私に伝えたかったのは、このこと?
だとしたら、伊藤のなりたい位置って――――…
私、こんなことしてる場合じゃないよ。
――…伝えなきゃ
伊藤に、私の本当の気持ちを――…