愛しのパシリくん



私の睨みに、ビクッと反応した男の子の体。


必死に頭を下げて、一生懸命な謝罪を私に向ける。



「…すいません!!」


「謝って済むの!?これで私が明日、風邪引いたらどうするつもり!?」



女の子みたいな顔が可愛いくて、少し行き過ぎた演技を私は続ける。


コイツの顔を見てると、何か意地悪したくなるな…



「ごめんなさい!!何でもするんで許して下さい!!」



そう言って頭を下げた男の子の言葉に、私はピクッと反応する。



「……何でも?」


「え…あ、はい……」



戸惑いながらもニコッと苦笑いをした男の子の顔。



……コイツの使い道、思いついちゃった。



「あんた、今日から私のパシリね。それで許してあげる♪」


「…パシリ!?」


「何?嫌なの?」


「…いえ、パシリでいいです…」




―…それが私と、パシリの伊藤理功(りく)との出逢いだった。




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