Holy-Kiss~我が愛しき真夜中の女神達へ~【吸血鬼伝説】
Ⅰ章 二ヶ月前
戦いの始まりは、突然に
しまった!
と、思った時には、もう遅かった。
俺は、側にいた凛花を抱くと、そのまま、窓ガラスを肩で割って、二階の窓から飛び出した。
とたんに。
どどどーん!!!!
一瞬にして、アパートが一棟丸々吹き飛んだ。
大地を揺るがすような轟音を立てて。
凛花と二人、転がるようにして出てきた道から、上を眺めれば。
今の今まで、俺たちの居た部屋も、あっと言うまに炎に包まれるのが見えた。
満月の輝く夜空に、紅蓮の炎が吹き上がる。
素早く起きて、気配を探れば……
どこからか、突き刺すような視線を感じた。
……いる。
敵が近くにいるのが判る。
爆発直前に部屋から飛び出してきた俺を、怪しんで見ているのを感じた。
奴らは、探しているのだ。
彼らの元から去った吸血鬼を。
……この俺を。