さがしモノ
バサッとフードをかぶった。
自然と上がる口角を隠すことなく歩みを進める。
「なに笑ってんの」
と横からフウに変な目で見られたが無視しておいた。
わたしは夜の街が好きだ。
きらびかなネオンも、どこからか聞こえてくる怒声も、やたら着飾った女たちも、この繁華街を彩るもの全てがわたしは好きだ。
22時をとうに回った繁華街は昼とはまた違う顔を見せる。
様々な人が行き交うこの繁華街だが、フードをかぶって歩いているわたしたちは異様なようでさっきからいくつもの視線を感じる。
そんな視線をかいくぐり、大通りをそれた裏路地に入ると幾分かまとわりつくような視線が消えた。
暗く、少々入り組んだ裏路地を少し歩くとわたし達は「ヴァン」と書かれた店の前で足を止めた。
カランカランと音を立てて開いた扉に「いらっしゃい」という声が掛かる。
わかりにくい場所にあるわりに店には意外と多くの客がいた。
わたし達はカウンター席の隅に腰をおろすとそれぞれ飲み物を頼んだ。
「ねーねー、あの子、どーなると思うー?」
「んー、姫になったりな。」
わたしが突然ふった話題に、とくに困惑した表情も見せずフウは答えた。
゙あの子゙で通じたらしい。
ちらっとランの方を見たがこちらの話には興味がないのかスマホをいじっていた。