さがしモノ



「おはようございます。
えー、今日は少し授業変更があり…」




HRが始まり、なべティーがあいさつしだしたけど横にいるはずの転校生ちゃんはいない。




意外とワルなのねー。転校生してきた次の日に遅刻なんて。

その理由はきっと寝坊でも体調不良でもない。

〝転校生ちゃんが、「蘭王龍(ランオウリュウ)」の姫になった〝



これが遅刻の理由だろう。





「では、HRは以上で。
ちゃんと授業を受けるように。」






そう言い残して、教室から出て行ったなべティーの背中を目でおいながら、わたしは昨日のことを考えていた。



はぁと無意識のうちに出たため息をつく。







カタンッ





わたしは席を立ってそーまの席に向かった。





「おっはよーさん」





「ん?あーマイ。おはー」






「そーまはどう思う?転校生ちゃん。」






「転校生?…………あ、あー。あの男の子か」





「いえ。違います。女の子でございます。」






「え!?あの子女の子だったの!?」







「誤魔化してもムダです。そーまさん。どこからどー見てもあの子は女の子です。黒髪の美女。ちゃんとわたしの話を聞いてください。」




相変わらずスマホをいじってるそーまはわたしの話なんかまともに聞いちゃいない。




「黒髪の美女?あー。あの蘭王龍のお姫さんね。」







「それは知ってんのかよー。」







「まーね。俺、情報通ですから。」



なんかドヤ顔してるそーまに冷たい視線を向けながら、自分の席に戻った。






< 24 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop