さがしモノ
「おはようございます。
えー、今日は少し授業変更があり…」
HRが始まり、なべティーがあいさつしだしたけど横にいるはずの転校生ちゃんはいない。
意外とワルなのねー。転校生してきた次の日に遅刻なんて。
その理由はきっと寝坊でも体調不良でもない。
〝転校生ちゃんが、「蘭王龍(ランオウリュウ)」の姫になった〝
これが遅刻の理由だろう。
「では、HRは以上で。
ちゃんと授業を受けるように。」
そう言い残して、教室から出て行ったなべティーの背中を目でおいながら、わたしは昨日のことを考えていた。
はぁと無意識のうちに出たため息をつく。
カタンッ
わたしは席を立ってそーまの席に向かった。
「おっはよーさん」
「ん?あーマイ。おはー」
「そーまはどう思う?転校生ちゃん。」
「転校生?…………あ、あー。あの男の子か」
「いえ。違います。女の子でございます。」
「え!?あの子女の子だったの!?」
「誤魔化してもムダです。そーまさん。どこからどー見てもあの子は女の子です。黒髪の美女。ちゃんとわたしの話を聞いてください。」
相変わらずスマホをいじってるそーまはわたしの話なんかまともに聞いちゃいない。
「黒髪の美女?あー。あの蘭王龍のお姫さんね。」
「それは知ってんのかよー。」
「まーね。俺、情報通ですから。」
なんかドヤ顔してるそーまに冷たい視線を向けながら、自分の席に戻った。