さがしモノ
「うわぁー!ここ、いいね!!」
「そうかー?」
滑り台とブランコと砂場と、そこそこ遊具のある公園に連れてきてみたが思ったより好評だった。
中央にある噴水の前で転校生ちゃんが歓声をあげている。
まだ5時前の公園はとても賑わっていた。
キャーキャー言いながら小学生くらいの子たちが走り回ってる。
「なんかね、懐かしい感じがするの!」
声音のわりに表情が暗い気がするが、たいして気に止めなかった。
「そろそろ次行くー?」
「うん!」
そう行って歩きだしたのは繁華街のほう。
この時間は夕飯の買い出しで混んでいる頃だろうか。
「そういえばさー、なんでこの時期に転校してきたのー?」
「え!?…う、うーんと…親の都合かな。」
意表をつかれたような顔になったあと、すごく悲しげな顔になる転校生ちゃん。
「そっかー」
あまりにも寂しそうだったからそれ以上はなにも言わなかった。
ちらりと見た転校生ちゃんの横顔は、どこか遠くを見ている。
西に傾いた日が照らす転校生ちゃんの横顔はどこか儚げだった。
茜色の空はゆっくりと青色を飲み込み、どこまでも果てしなく広がっているのであった。