さがしモノ
ちらり、と後ろの転校生ちゃんを見ると呆然とした様子で男子高生を見ていた。
ツンツンと袖を引っ張ると、我に返ったようにビクっと肩が動く転校生ちゃん。
「ちょっと、帰ろう…「夕くんっ!!」
わたしを無視してそう叫ぶと、返り血を浴びてる野々村 夕(ノノムラ ユウ)の元に駆けて行った。
「ど、どうしたの!?大丈夫!?何があったの!?」
ガクガクと野々村夕の肩を揺さぶる転校生ちゃん。
野次馬の方たちも、突然の転校生ちゃんの登場にざわめいてる。
「ねー。あの子誰?」
「同じ制服だね」
「もしかして彼女とか?」
「っねぇ!!夕くん!」
「……。」
反応のない野々村夕を揺さぶり続ける転校生ちゃん。
ウーウー
ウーウー
そんな時、パトカーのサイレンの音が聞こえてきた。
転校生ちゃんの方を見るが、サイレンに気づいた様子はない。
―――転校生ちゃんを置いてわたしだけ逃げるか。
それとも…
「ちょっとー、お二人さん。走ってー」
2人の手を引き、強引に人並みをかき分け走り出す。
耳に響くサイレンはもう、すぐそこまで来ていた。
(明日、絶対転校生ちゃんにシュークリーム奢らせよう)
そう、固く心に誓い走る速度を早めた。