さがしモノ
「フゥー。ここまで来たらもうへーきかなー」
さっき案内した公園とはひどく違い、伸び放題の草原の上に錆びついた滑り台が1つあるだけの、なんとも簡素な公園まで全力で走ってきた。
「ッはぁはぁ、ま、まいかちゃん!?」
ゼェゼェいってる呼吸を落ち着かせようとしているのか、胸に手をあてている転校生ちゃんは未だにパニクってる。
「あのねー。警察来てたから逃げてきたー」
「そ、そうだったの!?」
はぁー。と大きなため息をついた転校生ちゃん。
すると、急に真剣な眼差しになった。
「ねぇ、夕くん。なんであんなことしたの?」
西から入る光が転校生ちゃんを照らす。
沈みかけの夕日は、転校生ちゃんの悲しげな横顔を浮かび上がらせた。
先程の冷たい空気を完全に消したノノムラ ユウはうつむかせていた顔を上げ小さな声で答えた。
「……ぼ、僕…。ご、めん」
ほろり。ノノムラ ユウの大きな瞳から涙が溢れる。
…かわいい顔立ちの男子は、泣いても許されるのか。
「大丈夫。夕くん自分でしたことわかってるでしょ?だったら大丈夫。まだやり直せるよ。」
そう言うと、転校生ちゃんはノノムラ ユウに近づいていき、
控えめに、そっとノノムラ ユウを抱きしめた。
光の消えた空が、2人に影をおとす。
ーーその薄暗がりに溶け込むように、わたしはその場を去った。
これは後から聞いた話だが、ノノムラユウと転校生ちゃんは幼馴染だったらしい。